今年のセ・リーグCS最終ステージでレギュラーシーズン1位の広島を破って、日本シリーズ進出を決め、抱き合って喜び合う同3位のDeNAの選手たち=上田潤撮影
プロ野球は日本シリーズ(S)が28日に始まり、いよいよ日本一が決まる。日本S進出をかけたクライマックスシリーズ(CS)では、セ・リーグ3位のDeNAが、レギュラーシーズンでは14・5ゲーム差をつけられた首位広島を破って日本Sに進出したことで、「下克上」という言葉があちこちにあふれた。「下位の者が、上位の地位や権力を奪い取る」という意味合いの歴史用語は、スポーツのだいご味を伝える言葉としてもすっかり定着してきた。
特集:ベイ19年ぶり日本シリーズ
そのきっかけを作ったとされるのが、元ロッテで野球解説者の里崎智也さんだ。2010年シーズン、ロッテはパ・リーグ3位でCSに挑んだ。西武との第1ステージ初戦、里崎さんは九回に同点適時打を放ち、チームは延長十一回の戦いを制した。さらに第2戦でも、里崎さんは九回に同点本塁打を放ち、やはりチームは延長十一回で勝ち、ソフトバンクとの最終ステージ進出を決めた。その戦いの中で、口をついて出たのが、「下克上」という言葉だった。
「言葉って力があるじゃないですか。だから、チームメートにもファンにも分かりやすくて、全員の意識が一つになるキャッチフレーズみたいなのが大事なんです。それに僕はあのCSで調子が良かったから、説得力もあると思ったんです」
当時の心境をそう振り返る。里…