スペイン北東部カタルーニャ州ジローナで29日、レアル・マドリードとの試合で得点を決め、喜ぶジローナの選手たち=AP
独立問題に揺れるスペイン北東部カタルーニャ州の小都市ジローナで29日、サッカー・スペイン1部リーグの試合があり、今年1部に昇格したばかりのジローナがリーグ最多優勝の強豪レアル・マドリードに2対1で逆転勝ちした。マドリードの中央政府に自治権を奪われたカタルーニャがサッカーで雪辱した格好だ。
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スペインメディアによるとラホイ首相はレアルファンで、中央政府に解任されたプッチダモン前州首相はジローナが地元。試合は政治的に対立する両者の「代理戦争」として注目された。プッチダモン氏は試合後「ジローナの勝利はさまざまな状況において、前例や参考になる」とツイート。独立問題の行方になぞらえたかのような内容に「いいね」は4万件を超えた。
地力で勝るレアルが先制した序盤。ジローナの赤一色のスタンドからふいに「独立を!」の声が上がり独立のシンボル旗が揺れた。1714年にカタルーニャが自治権を奪われたことにちなみ、試合開始から17分14秒にコールをかけるジローナファンの定番だ。後半、大声援に押されジローナが2得点を挙げた。
試合に特段の混乱はなく、ジローナファンはレアルの選手たちが乗ったバスを拍手で見送った。独立のシンボル旗をまとって観戦したインテリアスタイリストのエステル・モンレアルさん(29)は「今日の試合は暴力なしの独立を求める私たちの意見表明の場でもある。独立を支持することはマドリードを敵視することではない」と話した。(ジローナ=下司佳代子)