ブカレスト中心部を行進するデモ参加者=5日夜、吉武祐撮影
ルーマニアの各地で5日夜、「反腐敗」を訴える大規模な反政府デモが行われた。政府が進める法改正が腐敗を助長するとして、首都ブカレストで推定で3万人を超える市民が集まったのをはじめ、西部ティミショアラなど地方都市でも数千人が行進。ドイツなど国外でもデモが行われた。
ルーマニアではトゥドセ首相率いる社民党(PSD)主体の政権が現在、検察人事や捜査指導で法務相の権限を強める法改正を進め、批判を浴びている。
PSDの政権はグリンデアヌ前首相時代の今年1月にも、一定の金額以下の権力不正は罪に問わないとする法改正を試みた。このときは、欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会も懸念を表明。全土に広がった反政府デモが1989年の革命以来の規模になり、閣僚辞任につながった。
ブカレストでは5日夜、人々が首相府前の広場で庁舎に向けて「泥棒」「政府は退陣を」などと叫んだ後、国会議事堂まで約4キロの道のりを2時間以上にわたって行進した。デモを呼びかけた市民団体の一つの代表、ミハイ・トゥドリカさん(35)は「政府はこんなこと(法改正)をするより、経済に力を注ぐべきだ。国民の怒りは沸点に達した」と話していた。(ブカレスト=吉武祐)