米半導体大手ブロードコムは6日、同業の米クアルコムに対し、買収を提案したと発表した。買収額は負債を含めた総額で約1300億ドル(約14・8兆円)。実現すれば半導体業界では過去最大のM&A(企業合併・買収)案件になる。
両社ともスマートフォンなど無線通信向けの半導体に強みを持つ。買収が実現すれば、米インテル、韓国サムスン電子に次ぐ巨大半導体メーカーが生まれることになる。
クアルコムの株主に対し、1株あたり70ドルを現金と株式で支払うことを提案した。買収報道が出る直前の株価に28%上乗せした水準だが、不十分だとの指摘も出ており、一部米メディアは、クアルコムが提案に反対する方針だと伝えた。競争が損なわれるとの懸念から、各国の独禁当局が難色を示す可能性もある。
ブロードコムは積極的なM&A攻勢で知られる。東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の買収にも名乗りを上げ、一時は売却先候補として有力視されていた。(ニューヨーク=江渕崇)