農林水産物の輸出に取り組む企業などを支援する農林水産省の事業について、会計検査院が8日、目的の未達成や事後チェックの不備があるなどとして改善を求める報告書をまとめた。対象の補助金は約29億円。政府は「攻めの農林水産業」を掲げて輸出支援の予算を増やしているが、その効果が問われる。
検査院が指摘したのは、2013~15年度に実施された水産物の加工施設の改修を補助する事業と、食品などの輸出促進事業。
水産加工施設の補助は、国際的な食品の衛生管理規則「HACCP(ハサップ)」の認定を得るために国が改修費の半分を上限に出す。検査院が調べた72件のうち、改修後1年以上たっても認定を得られていないものが今年3月末時点で21件あった。補助金は17億7589万円が投じられた。農水省は「認定が得られるよう指導していく」としている。
輸出促進事業は、商談会開催費などの半分を上限に国が補助するもので、91件に約11億円が支払われた。業者は報告書を提出する必要があるが、事業と関係ない数値が記入されているなど、輸出促進に結びついているか分析できない状態にあった。農水省は報告書の仕様が実態に合っていなかったとして見直すという。
農水省は18年度当初予算で、輸出力強化に77億円(前年度比48%増)を要求しているほか、漁港整備やコメ生産など幅広い分野で輸出にかかわる補助金を盛り込んでいる。(杉浦幹治、山村哲史)