会見で謝罪する日産の西川広人社長(手前)=横浜市
日産自動車の西川(さいかわ)広人社長は17日午後、東京・霞が関の国土交通省を訪れ、無資格検査問題の調査報告書と再発防止策を提出した。日産本社(横浜市)で会見し、「信頼を裏切ることになった」と謝罪。月額報酬の一部を自主的に本年度末まで返上すると述べた。
西川社長は国交省の奥田哲也自動車局長に「猛省し対策する」と頭を下げた。奥田局長は「是正後も不正が発覚し、検査員の任命試験でも不正があり驚きを禁じ得ない。由々しき事態だ」と述べ、対策を厳しく監督する考えを伝えた。
報告書は、不正は1980年代からあり、書類偽装や監査時のみの適正対応といった発覚逃れや資格試験の不正が横行していたと指摘。人員の適正配置を怠るなど経営陣らの検査軽視の姿勢や、近年の増産を事態悪化の背景に挙げた。だが西川社長は会見で「不正が習慣で根付いていたことが本質」と述べ、自身やカルロス・ゴーン会長の就任前からの慣行だったことを繰り返し強調した。
自身を含む経営陣の進退については「今後の挽回(ばんかい)も含めて検討する」と述べるにとどめ、ゴーン氏の責任も明言しなかった。
再発防止策は、資格を持つ検査員以外は入れないエリアを設け、今年度末までに顔認証で入場管理体制を整える――などとした。(伊藤嘉孝)
西川氏が記者会見でにじませたのは、現在の経営陣というよりも日産という組織の風土が問題だったという認識だ。「なぜ誰かが問題提起しなかったのか、非常に残念」。自らの反省点を問われ、そう答えた。
西川氏は報酬の一部を自主返納していると説明。しかし、10月から半年間を念頭に始めたという減額の割合は明かさなかった。報酬は、社長就任前の2016年度でも約4億円。ゴーン氏など個別の役員については返納したかどうかすら明らかにしなかった。
問題の影響が長引き、利用者や…