千葉港(千葉市)に13日まで停泊していた香港籍の貨物船の船員から、千葉県警の警察官が「1月と2月に北朝鮮に寄港した」と聞きながら、県警として対応せず出港を許していたことがわかった。日本政府は北朝鮮への制裁として、同国に寄港した船舶の入港を禁止している。小此木八郎国家公安委員長は17日、閣議後の会見で「国際社会と連携して北朝鮮に対する圧力を強化している段階において断じてあってはならない」と述べ、警察に再発防止を求めた。
貨物船は3日、千葉港に寄港した。乗員は中国籍の男性22人。スラグを積み込み、シンガポールに運ぶのが目的だった。巡回中の水上警察隊員が12日夜、停泊中の船内で船員に話を聴いたところ、北朝鮮の羅津港に寄港したと説明し、書類に記録も残っていた。船は翌13日午後に出港した。
政府は特定船舶入港禁止特措法に基づき、北朝鮮に寄港した船舶の入港を禁じ、違反した船長は3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科される。だが、県警は同法違反容疑で捜査せず、船舶の入港許可を担当する海上保安庁にも連絡しなかった。水上警察隊員が特措法を熟知しておらず、捜査を担当する外事課に電話などで速報していなかったという。
海保は船長が民間の代理店を通して提出した直近10カ所の寄港場所や積み荷などの「船舶保安情報」を確認し、入港許可を出す。千葉海保によると、貨物船の10カ所の寄港地に北朝鮮は含まれていなかったといい、「手続きに不備はない」としている。
県警は「非常に重く受け止めている。関係所属や関係機関への連絡・報告をはじめ、必要な措置を迅速に講じていく」とし、対策を検討する。