名古屋市中区の長者町地区にできる超高層マンション(野村不動産提供〈予想図〉)
繊維問屋街で知られた名古屋市中区の長者町(ちょうじゃまち)地区で、超高層マンションを中心とする複合ビルの建設が本格化する。事業を担う再開発組合が20日、名古屋市長から組合設立の認可を受けた。2018年度末に着工し、21年度の完成を目指す。
この事業は、名古屋中心部で計画されている大規模再開発の一つ。総事業費は非公表。再開発組合は、「プラウド」ブランドの住宅を手がける野村不動産などで構成される。
建設地は中区錦2丁目、市営地下鉄(鶴舞線、桜通線)丸の内駅から徒歩2分の場所。地上30階建て(高さ約111メートル)、総戸数358戸の超高層マンションと、地上5階建ての低層棟(駐車場、店舗)が計画されている。敷地面積は計約5千平方メートル。マンションは19年ごろに売り出すとみられる。
長者町は戦後、「日本三大繊維問屋街」に数えられるほど発展したが、繊維産業の構造変化によって廃業や倒産が相次ぎ、1980年代以降に空きビルや駐車場が増加した。2000年代に入り、危機感を持った地元有志がにぎわいを取り戻そうと、まちづくりの協議会を設立。「長者町ゑびす祭り」や国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」が開かれるようになり、活力を取り戻しつつある。それでも、錦2丁目の人口は30年前から半減し、400人ほどだ。
今回の超高層マンションは低層部に、地域活性化を目指す「エリアマネジメント活動」の拠点を設ける。敷地内に広場をつくり、イベントや地域活動に使える場所にする。錦二丁目まちづくり協議会の堀田勝彦会長(51)は、「まちと分断されたマンションにはしたくない。エリアマネジメント活動の拠点や広場をつくることは、地元と再開発組合の長者町に対する思いが表れた結果だと思う」と話す。(友田雄大)