大阪・ミナミのなんなんタウン商店街振興組合が、恒例の「大阪弁川柳コンテスト」で、大賞など15作を選んだ。7~10月に募集し、5939点が集まった。今年の世相や出来事が色濃く映し出されている。
「早(は)よ食べや いつまで写真 撮ってんねん」
なんなん大賞はこの作品に輝いた。料理が運ばれると、まずはスマートフォンで撮影というのがお決まりの光景に。優秀賞は次の2点。「ノルウェイの 森から出るの いつやろか」。今年のノーベル文学賞はカズオ・イシグロさんに。「あべ君とこ ソンタクロース 来るんやて」
審査した川柳作家の大西泰世さんは「今年は忖度(そんたく)、北朝鮮のミサイル、『一線越え』の話題が目についた。大賞はインスタグラムの投稿がテーマ。湯気が見えます。優秀賞の1点目、ハルキスト(村上春樹ファンの通称)は怒るかもしれないが、うまいことつくってる。2点目は『あべ君』と平仮名で書き、首相を特定しているようでしていないのがみそ」と講評した。
佳作にはこんな作品も。「もりとかけ あとはたぬきで 化かすんか」「アイスちゃう Jアラートは警報や」「プレミアム ビールとちゃうで 金曜日」
コンテストは1997年に始まり、今年で21回目。なんなんタウン商店街振興組合の池田吉孝理事長は「大阪は浄瑠璃に代表される語り物の文化が根付いた町で、庶民の言葉が発達し、語彙(ごい)も豊富。会話を楽しむ文化が川柳を支えている」と話す。
受賞作は大阪・北船場地区で開かれている「船場博覧会」の企画展として、大阪市中央区平野町1丁目の辰野ひらのまちギャラリーで展示中。23日まで。12月9日には同振興組合が受賞者を招いて表彰式を開く。大賞には旅行券10万円分が贈られる。(中村正憲)
応募作の一部
《佳作》=抜粋
ナマズかて 近大出れば ウナギやで
二千本! 焼き鳥ちゃうで 鳥谷や
《キャッチフレーズ賞》
セールやて ダッシュで行かな 9秒台
《選外》
記憶ない うちが言うたら 「ボケちゃうか」
あのセンセ 今度どこから 出はるのか
Wやて バーガーちゃうで 不倫やで
巨人より 上におるから まあええか
上のもんが よおけ休んで すんまへん
プレミアム 帰れる訳が ないやんけ
ロケットマン エルトンジョンと ちゃうやんか
インスタ映え どこにおんねん そんなハエ