学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐり、会計検査院から国の値引きについて「十分な根拠が確認できない」などと指摘されたことを受け、財務省は24日、国有財産を処分する手続きを見直すと発表した。公共性が高い随意契約では売却価格をすべて公表し、例外的な売却価格は第三者がチェックする。手続きを事後的に検証できるよう文書の管理も見直す。
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森友問題、土地8億円値引き「根拠不十分」 検査院見解
麻生太郎財務相は同日の閣議後会見で、検査院の報告について「結果を重く受け止めなければならない。国有財産の管理処分について手続きの明確化をはかり、例外は極力つくらない」と強調。今後、財政制度等審議会で具体的な見直し内容を検討するとした。
財務省が同日公表した見直し案では、公共性が高い随意契約では、価格の公表を契約の要件とし、すべて売却価格を公開する。森友問題では当初、売却価格を不開示としたことが問題になっていた。また、土地の貸し付けや分割払いなど、例外を認める場合の基準も明確化。売却先の支払い能力の審査も徹底する。
また、森友問題で値引きの根拠とされた地中のごみの量について、国土交通省大阪航空局が撤去費用を見積もったが、会計検査院は最大で約7割ごみの量が少なくなると指摘した。このため、地下埋設物が存在するなどの例外的な事案では、価格算定の見積もりを国以外の専門家に依頼し、それを弁護士や不動産鑑定士ら第三者の有識者がチェックする手続きも設ける。
さらに、処分する際の打ち合わせ内容を事後的に確認できるよう、契約をめぐる決裁文書などを充実させ、公文書管理の徹底を図るとしている。
麻生氏は今回の責任問題については「今の段階で答えることはない」とし、省内で森友問題の再検証をする可能性についても「今のところありません」と否定的な考えを示した。