森友学園が小学校開設を予定していた土地には、柵に国有地と表示されていた=22日午後、大阪府豊中市、筋野健太撮影
疑惑はさらに深まった。大阪府豊中市で小学校開校を目指した学校法人「森友学園」(大阪市)に、国有地が格安で売却された問題。会計検査院が値引きの十分な根拠を確認できないと公表した22日、問題を追及してきた関係者は改めて徹底究明を求めた。捜査の行方にも注目が集まる。
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「これが背任でなくて、何が背任なんだ」。22日夕、大阪市内の法律事務所で、会計検査院のホームページから検査結果の報告書を印字し、真剣な表情で読み込むグループがあった。国有地売却問題で財務省の職員らを、大阪地検特捜部に背任容疑で告発した弁護士たちだ。
共同代表の菅野園子弁護士は「ごみの量や深さに明確な根拠がないまま(国有地を)減額したと指摘したことは評価できる」としつつ、「検査院が自らごみの量を調査すべきだった。適正な撤去費を具体的に挙げなかったのは残念」と付け加えた。そして、異例の安値売買の背景への踏み込みもないとして「特捜部には徹底的な捜査を求めたい」と述べた。
当初非開示だった売却価格の公表を求めてきた木村真・大阪府豊中市議は、報告書で国側に値引きの積算資料が残っていないとされた点について「ありえない」と批判。「(小学校の名誉校長だった)安倍晋三首相の妻である昭恵氏の関与の有無も明らかになっていない。国会で証人喚問すべきだ」と話した。
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京)の三木由希子理事長は報告書について「(会計検査院の)無念がにじみ出た内容」と語った。「検査院は捜査機関ではないので、『文書がない』と言われればそれ以上の追及は難しい」。国有地売買の当事者だった財務省に対しては「森友問題について『逃げ切った』と思っているかもしれないが、もっと大きな『行政の信頼』を深く傷つけた。失ったものは大きい」と批判した。
特捜部捜査、カギは「目的」
検察当局は、国の担当者が森友学園に国有地を不当に安く売ったとする背任容疑の告発4件を受理し、捜査している。
大阪地検特捜部は、学園の補助金詐欺事件の捜査を終えた9月以降、国有地にからむ捜査を本格化させた。財務省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長を含む11人が告発されており、関係者らの聴取が続く見通しだ。
会計検査院報告と検察の捜査で…