学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却問題で、8億2千万円の値引きの理由となった地中のごみの量の算出方法を会計検査院が検証したところ、国の算出の根拠が十分でなく、ごみの量が過大に見積もられていた可能性があることがわかった。検査院は22日、こうした指摘を含め、一連の契約の経緯を調べた結果について国会に報告する。
森友問題、土地8億円値引き「根拠不十分」 検査院見解
この問題が2月に発覚して以降、国は「法令に基づき、適正な価格で処分した」などと説明。「徹底調査」を求められた安倍晋三首相も「会計検査院に調べてもらえばいい」などと検証を検査院に任せるような発言を繰り返した。検査院の報告は売却価格の妥当性に疑問を投げかけるものになりそうで、政府側は新たな説明が求められる。
問題となったのは、森友学園が2016年6月に購入した大阪府豊中市内の8770平方メートルの国有地。小学校建設用地として賃借していた学園側が同年3月、地中深くにごみが見つかったと国に申告したことから売却交渉が始まった。国はごみの量を1万9520トンと推計し、鑑定価格から撤去費用8億1900万円などを差し引いて1億3400万円で売却された。
ごみの量を推計したのは、財務省近畿財務局の依頼を受けた国土交通省大阪航空局だった。同局は09年度に行った地下調査の結果をもとに、最大で深さ9・9メートル、混入率47・1%でごみが存在するとした。
しかし、検査院が検証した結果、深さや混入率の数値を設定した根拠が十分に確認できなかったという。また、同局と同じ条件で、複数の方法でごみの量を試算したところ、いずれも国の推計量より少なくなったという。
国は売却時、1トンあたり2万2500円の処分単価をごみの量に掛け合わせて処分費用を算出し、値引きした。検査院の試算ではごみの量が少なくなることから、同じ処分単価を用いれば値引き額が過大となっていたことになる。
この国有地売却をめぐっては、値引きの根拠が不明として今年2月以降の国会で野党が厳しく追及。検査院は3月、国会の要請を受けて契約の経緯や売却価格の妥当性などを調べていた。