屋外に作られた家庭用核シェルター=鹿児島市石谷町
鹿児島市の住宅メーカー七呂建設(七呂恵介社長)が今月から、米国製の家庭向け地下型核シェルターの販売を始めた。緊張が高まる北朝鮮の核ミサイルの脅威や、原発事故や火山災害から身を守る避難場所として普及をねらう。
シェルターを製造しているのは、米アトラス・サバイバル・シェルターズ社。前身も含めると冷戦下の1950年代に始まった企業という。
シェルターの大きさは4人用で縦約3メートル、横2・4メートル、高さ2・5メートル。鉄製の箱形で、地下に埋設。1メートル四方の入り口からはしごで上り下りし、4畳半ほどの空間で生活することができる。放射性物質を除去する空気清浄機があり、床下には2週間分の食料品やイスラエル製のガスマスクや防護服などを収納している。
室内には折りたたみ式のベッドや簡易トイレもついている。鉄製のために防音効果も高く、普段は来客向けの部屋、スタジオ、書斎などとして活用できると同社。価格は本体と設置費込みで1500万円という。
今月16日に報道機関向けの説明会があり、同社の担当者は「ミサイルは飛来するまでの時間はかなり限られ、避難できる地下街は九州に多くはない」とシェルターの必要性を説明した。
同社が今年5月、コンクリート製の地下室を備えた住宅のモデルハウスをオープン。見学に来た客から「シェルターとして使えそう」といった声が聞かれ、本格的にシェルターの販売に動き出したという。来年度に九州・沖縄で10棟、2023年度には累計100棟の販売をめざすという。
七呂社長は「ミサイルを不安に感じる人が意外に多いことに気づいた。これなら家庭でも避難することができる。もちろん、有事はないことが一番ですが」と話した。(斉藤明美)