国土交通省の防災ヘリに搭載されていた軍事転用可能な赤外線カメラが中国に流出したとされる事件で、中国人留学生の男(22)=外為法違反容疑で書類送検=が、日本のオークションサイトで多数の精密機器を購入し、うち約10点を中国向けに転売していたことが警視庁への取材でわかった。一部は中国の大学に売ろうとした形跡もあったという。
捜査関係者によると、留学生は2015年10月の来日以降、公安部が自宅を捜索した今年7月までにネットを通じてカメラ類やオシロスコープなどを購入。うち約10点は中国に自ら手荷物として運んだり、国際宅配便で品目を偽って送ったりしていた。売却先は中国のオークションサイトや中国在住の知人を通じて探していたという。
中には輸出が制限されている「リスト規制」の対象品も含まれていた。その一つが書類送検の容疑となった赤外線カメラで、中国の軍事用品を扱う会社に約250万円で売却していた。ほかに南京の大学から米国製カメラを買いたいという問い合わせもあったが、契約はまとまらなかったという。公安部は、金目的で転売を繰り返す留学生に、中国の軍事関連企業や学術機関が関心を示していたとみている。
また、書類送検容疑の赤外線カメラの破砕処理を請け負いながら転売していたとされる廃棄物処理会社が、他にもリスト規制にかかるカメラ2台を処分せずに転売していたことがわかった。国交省は事態を重く見て昨年度末、重要な物品に関しては廃棄現場への立ち会いを求め、処分時の写真の提出をするよう元請け業者などに通知した。