国土交通省の防災ヘリに搭載されていた軍事転用可能な赤外線カメラが中国に流出したとされる事件で、カメラの破砕処理を請け負った廃棄物処理会社が、他にもカメラ2台を処分せずに転売していたことが警視庁への取材でわかった。この2台も輸出が制限される「リスト規制」の対象だった。国交省は流出を受け、重要な物品の処理には元請けの立ち会いなどを求めるよう仕組みを改めた。
国廃棄の軍事カメラ、中国に不正輸出容疑 ネット流出品
チャットで「こんなもの持ってます」軍事関連カメラ流出
警視庁公安部によると、この廃棄物処理会社は、国交省の防災ヘリに搭載されていたカメラ3台の破砕処理を、2015年にシステム更新業務を受注した三菱電機から請け負った。しかし、いずれも処分せずに転売。このうち赤外線カメラ1台について、中国に不正輸出したとして、中国人留学生の男(22)が外為法違反容疑で書類送検された。
ほかの2台は、今月17日に福岡県内で中国人男性が所持していたのが確認された。リサイクル業者を通じてネットオークションに出品されていたという。廃棄物処理会社の当時の営業部長は調べに「破砕できず、国交省と三菱電機にうその報告をした」と話したという。
国交省によると、国内の法令に基づく処理手続きだったが、これらの法令には処理の現場に立ち会ったり写真で確認したりする規定はなかった。流出が確認された後、昨年度末に重要な物品に関しては廃棄現場への立ち会いや写真の提出を元請け業者などに通知した。今後、物品の対象範囲について検討していく方針だ。三菱電機も「管理体制を見直す」としている。