大谷翔平のポスティングシステムによる移籍の流れ
大リーグ挑戦を表明した日本ハムの大谷翔平(23)の移籍先が、12月23日までに決まる。日本選手が大リーグへ移籍する際に使うポスティングシステムの新協定が11月22日、日米間で合意。12月1日(日本時間2日)に米国で開かれる大リーグ機構(MLB)のオーナー会議で承認され、その日のうちに発効される。交渉期間は2日(日本時間3日)からスタートする。
今オフは従来通り日本野球機構(NPB)球団が上限2千万ドル(約22億円)の譲渡金を設定し、支払う意思がある全てのMLB球団が選手と交渉できる。大谷については交渉期間が短く、ポスティング申請までの期間にMLB球団は文書によるプレゼンテーションが可能になった。
同じく今オフにポスティングで大リーグ移籍を希望する西武の牧田和久投手(33)は、従来通り申請期間が来年2月1日までで、交渉期間は30日間。今オフは大谷と牧田以外のポスティング申請は認めない。
来年オフからは制度が変わり、譲渡金はNPB球団が設定するのではなく、選手の年俸総額(契約金などを含む)によって決まる方式となる。契約した年俸総額のうち2500万ドル(約28億円)まではその金額の20%の比率で金額を算出。同様に2500万ドルを超えて5千万ドル(約56億円)までの分は17・5%、5千万ドルを超えた分については15%の比率で算出し、譲渡金はその3段階の金額の合計となる。
出来高払いについては別途支払いで、各シーズン終了後に確定した出来高払い額の15%が、追加譲渡金としてNPB球団に支払われる。ポスティングでメジャー契約できるのは、大リーグの労使協定に基づき、25歳以上で、かつNPBで6年以上の選手が対象。申請期間は11月1日から12月5日までに変更される。マイナー契約になった場合の譲渡金は契約金の25%となる。
新協定発効には大リーグ選手会の同意が必要だったため、22日朝までNPB、MLBと3者による協議が続けられてきた。当初案では比率が一律15%で、金額が低い場合はNPB球団にポスティング申請を撤回する権利があった。しかし、選手会が「撤回権」に反対。妥協案として金額によって比率を変えることで、NPB側も「撤回権」を放棄したという。
現状では「大谷のポスティング待ち」で、大リーグのフリーエージェント(FA)選手らの移籍市場がほとんど動いていない。選手会はその影響を懸念し、大谷のポスティング申請期間を早めることを求めていたという。
来オフ導入される新ポスティングシステムの骨子
【新制度の発効】
新制度は2018年11月1日から21年10月31日の3年契約。どちらか一方からの改正の申し入れがない限り、1年ずつ延長される。
【譲渡金】
●メジャー契約したNPBプロ選手(25歳以上かつNPB在籍6年以上の選手)について、年俸総額(支払い確定年数の全年俸、契約金など)に3段階の比率を乗じた金額の合計額。
a)2500万ドルまでの分 20%
b)2500万ドルを超えて5千万ドルまでの分 17.5%
c)5千万ドルを超える分 15%
《例えば年俸総額が6千万ドルの場合は、2500万ドルの20%分(500万ドル)と、2500万ドルの17.5%分(437.5万ドル)と、1千万ドルの15%分(150万ドル)を合計した1087.5万ドルが譲渡金となる》
●インセンティブ・ボーナス(出来高払い)は追加譲渡金で支払い。当初のメジャー契約のもとで、選手がのちに獲得したインセンティブ・ボーナスの15%。
●マイナー契約の場合は、契約金の25%。
●譲渡金の支払いのスケジュールは、契約確認から14日以内に譲渡金の50%、12カ月後に25%、18カ月後に25%。出来高払いによる追加譲渡金は毎オフに支払う。
【申請期間】
毎年11月1日から12月5日。選手とMLB球団との交渉期間は従来通り30日間。