行方不明になっているアルゼンチンの潜水艦「サンフアン」=AP
乗員44人を乗せて消息を絶ったアルゼンチン軍の潜水艦の行方が世界の注目を集めている。10カ国以上が協力し、4千人態勢で捜索を続けているが、消息を絶った海域では爆発音が探知された。乗員が爆発の被害を免れていたとしても、沈没していれば艦内に十分な酸素は無く、生存を絶望視する見方が広がっている。
アルゼンチン海軍潜水艦、消息絶つ 救難信号送った形跡
行方不明となっているのはドイツ製のディーゼル潜水艦「サンフアン」(全長66メートル)。地元報道によると、南米大陸南端からアルゼンチン中部に帰港する途中の15日、大西洋上で確認されたのを最後に連絡が取れなくなった。
アルゼンチン海軍は「通信機器の故障が原因」などと説明したが、その後、包括的核実験禁止条約機関準備委員会が、最後の連絡があった約3時間後、同艦がいたとみられる海域で爆発音を探知したと発表した。
捜索海域は日本の面積より広い48万平方キロ。米国やロシア、英国、ブラジルなどが軍艦や航空機を派遣して協力したが、海面では見つからなかった。最深3千メートルの海底に沈んでいるとみられ、ソナーなどで捜索している。アルゼンチン軍によると、潜水艦が浮上できない場合の酸素量は約7日分という。
同国のマクリ大統領は24日、「国際社会の支援を受けて捜索を続ける。数日のうちに見つけられるはずだ」と強調した。同国では、軍が情報を隠していたとみて、軍の対応を疑問視する声が広がっている。(サンパウロ=田村剛)