記者の質問に答える核兵器禁止条約交渉会議議長のホワイト大使=29日午後1時25分、広島市中区の国際会議場、上田幸一撮影
核兵器禁止条約交渉会議の議長を務めたコスタリカのエレイン・ホワイト大使が29日、広島市で始まった国連軍縮会議に参加。朝日新聞などのインタビューに応じた。
特集:核といのちを考える
特集:核兵器禁止条約
ホワイト大使との主なやりとりは次の通り。
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――29日未明の北朝鮮によるミサイル発射や、継続する核実験という、この地域の現実の脅威が、核兵器禁止条約の発効に向けた勢いに影を落としているのではないか。日本政府は条約への署名をちゅうちょし、「今は米国の『核の傘』から抜けて条約に加わるのには適切な時期ではない」と主張している。どうやって核禁条約に賛同しない国々を説得するか。
ミサイル発射が核禁条約の重要性に影を落としているという認識には賛成できない。それどころか、核時代を超えて前に進まなくてはならない証左だ。世界に不安定な状態を与えているのに、現状維持で何もしないのか。すべての核保有国が今、核兵器の近代化を進めているのを私たちは目撃している。そのことを容認できない。核拡散が続く現状を維持し、強い核軍縮の措置をとらないということでいいのか。(1962年に米ソが核戦争寸前で回避した)キューバ・ミサイル危機が(両国に軍縮を促す)「目覚まし」になったように、発想の転換をしなくてはならない。兵器があれば安全になるわけではない。今回の(北朝鮮の)ミサイル発射にも適用できるだろう。
――これまで核禁条約には53カ国が署名し、うち3カ国だけが批准を済ませた。122カ国が条約の採択に賛同している割には、署名・批准のペースが遅いのではないか。発効には50カ国の批准が必要だ。
近年発効した武器貿易条約やク…