カメラやレーダーがついたZMPの実験車。運転席には誰も乗っていない状態で走行した=東京都江東区
自動運転ベンチャーのZMPは14日、運転席が無人の自動運転車を公道で走らせる実証実験を都内で行った。警察庁が6月に示した実験の基準に沿った試み。ZMPは完全自動運転のタクシーを2020年に実現するとの目標を掲げており、その第一歩と位置づけている。
東京都江東区の日本科学未来館に近い、片道1車線の直線道路約150メートルで実施した。緊急時に備えて後部座席に従業員が座ったが、運転席と助手席には誰も乗っていない状態で走行。ミニバンを改造した実験車は、時速約20キロまで速度を上げて直進し、ゆっくりと停止した。
これまで蓄積した道路状況などのデータを3次元の「地図」として使い、車載カメラやレーダーで周囲の環境をつかみながら、車線を外れないよう自動制御した。緊急時は遠隔操作ですぐに停車できるよう時速20キロに抑えたが、運転席に人が乗っていれば時速50キロ以上で走り、車線変更や交差点の右左折も可能という。
ZMPの谷口亘社長は「重要な第一歩。東京五輪までにぜひ(完全自動運転を)実現したい」と述べた。20年には東京・お台場などで、運転手がいないタクシーの実用化をめざす。6月には日の丸タクシー(東京都)とも業務提携した。
道路交通法上は運転席に人がいなければならないが、警察庁は6月、公道での実験を可能にするための基準を策定。これに沿い、14日にはZMPのほか、愛知県や名古屋大学発のベンチャーなども、愛知県幸田町で実証実験を実施した。幸田町民会館近くの県道など約0・7キロの周回コースで実施。運転席には誰も乗らず、車内からの映像などを遠隔から監視した。(木村聡史)