イベント会社の社長に転身した元DeNAの小杉陽太さん=横浜市中区
プロ野球選手からイベント会社の社長へ――。今年10月に戦力外通告を受けた元DeNA投手の小杉陽太さん(32)は、第二の人生に「起業」を選んだ。次なる夢は、横浜スタジアムで自社主催のイベントを行うことだ。
特集:プロ野球戦力外2017
8日夜、今年を限りにDeNAでの現役を引退した下園辰哉さん(33)のトークショーが横浜市中区で開かれた。100人が集まり約2時間、下園さんが質問に答えたり、記念撮影をしたりして、ファンとの時間を楽しんだ。
この催しを企画したのが、チームメートだった小杉さんだ。11月に株式会社「l’unique」(リュニック)を設立し、イベントの企画や制作、運営などを担う。社名はイタリア語で「唯一の、固有の」という意味。その名の通り、その場でしか味わえない体験をめざしている。
起業のきっかけは野球教室
数年前から、野球をやめた後について頭の片隅で考え、ビジネス書を読むなどしていた。イベント会社を興すという答えにたどり着いたのは、現役時代の経験からだ。
東京・二松学舎大付高出身。社会人野球のJR東日本から、2008年のドラフトでDeNAの前身の横浜に入団した。教える側として少年野球教室に参加した際、ふと疑問に思った。「全員と触れ合うことは難しいし、遠目からしか見られない子もいる。全員が満足してくれているのだろうか」。ならば「お客さんに、自分にしかできない体験を与えたい」。球団から仕事を紹介されたが、起業する道を選んだ。
双方向の企画目指す
下園さんのトークショーは、どうしても実現させたかった。「選手会長を務めたのに、引退試合もなかった。ファンは本人の言葉を聞きたい」。下園さんには、参加者一人ひとりに向けて、メッセージを書いてもらった。
大切にしているのが、一方通行にならないこと。主催者から何かを与えるだけでなく「お客さんと一緒にイベントを作り、同じ時間を共有してもらう」。今後は、ファンから企画を提案してもらい、一緒に運営するようなことも考えている。(井上翔太)