故郷沖縄での試合が決まり、ポーズを取る比嘉=東京都千代田区
世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王者の比嘉大吾(22=白井・具志堅スポーツ)が26日、東京都内で記者会見し、2度目の防衛戦を故郷の沖縄で開催すると発表した。2月4日、那覇市の沖縄県立武道館で同級10位のモイセス・フエンテス(メキシコ)と戦う。地元での世界戦は同郷の具志堅用高会長(62)の悲願でもあった。15試合連続KO勝利の日本タイ記録がかかる試合にもなる。
記者会見では、晴れやかな顔の師弟が並んだ。「いずれやるだろうと思っていた。『来たな、この時が』という感じ。喜びが大きい」と比嘉。具志堅会長が37年前、世界ボクシング協会(WBA)ジュニアフライ級の14度目の防衛戦で敗れ、現役最後の試合になったのも沖縄だった。「自分は負けたから。世界戦の素晴らしさを見せたい」と、まな弟子に期待をかけた。
浦添市出身の比嘉は5月、会長の現役時代と同じ21歳で世界王者に。沖縄出身としてはWBAジュニアウエルター級元王者の平仲明信氏以来、25年ぶりの快挙だった。6月には宮古工高時代に過ごした宮古島で祝賀パレードを行い、約3千人が集まった。
目指すは「具志堅超え」
比嘉が目指すのは「会長超え」だ。13連続防衛の日本記録ではない。知名度で上回りたいという。「一緒に町を歩いたら、みんなが会長に寄ってくる。沖縄でパレードをした時も、会長への声援が大きかった」。具志堅会長は「世界王者になって私に半分くらいは近づいたかな」と、余裕の表情だ。現役時代はプロ野球・巨人の王貞治(現ソフトバンク球団会長)と並ぶほどの国民的英雄だった。比嘉はまだまだ及ばない。
ここまでのプロ14戦は全てKO勝ち。沖縄でもKOすれば、浜田剛史氏(現帝拳代表)らが持つ日本記録に並ぶ。会心の一発で倒すというより、ずしりと重く多彩なパンチで相手の心身を削り、ダメージの蓄積で追い込んでいく。連続KOの要因を、会長は「力強さと、ハート。勇気を持って向かっていけるところ」と分析する。
ただ、軽量級離れした筋肉量がある分、フライ級の上限体重50・8キロまで10キロ近い減量を強いられる。
10月の初防衛戦の6日後には始動し、鹿児島の徳之島での2週間の走り込み合宿を終えたばかり。相手のフエンテスは元2階級王者で、昨年12月には世界ボクシング機構(WBO)ライトフライ級王座を田中恒成(畑中)と争い、5回TKO負けしている。比嘉は「倒すのは大前提」とした上で、「それより早いラウンドで倒したい。年末年始も練習するだけ」。KOパンチャーのプライドが見えた。(伊藤雅哉)
連続KO記録
①15試合 浜田剛史(帝拳) 1980~85年
① 〃 牛若丸あきべぇ(協栄) 2004~07年
③14試合 金井晶聡(姫路木下) 2001~04年
③ 〃 別府優樹(久留米櫛間) 2012~17年
③ 〃 比嘉大吾(白井・具志堅)2014~継続中
⑥13試合 丸山大輔(筑豊) 1999~03年