インタビューに答える大坂なおみ=北村玲奈撮影
世界の女子テニス界は「女王」不在で、群雄割拠が続く。日本勢にも希望の光は差している。新幹線になぞらえられるほどの速さで急成長している有望株、世界ランク68位の大坂なおみ(20)だ。米国で育った思いや、世界を驚かせた2017年を振り返った。
あの時、声援が重圧になった
日本人として忘れられない年になった。
9月、日本での今季初戦となったジャパン女子オープン。1回戦で、世界ランクが自分より62も低い奈良くるみに3―6、0―6で敗れた。指摘されてきた精神面の未熟さを露呈したかのような負け方だった。
ハイチ出身の父と日本人の母を持つ大坂ならではの苦悩を抱えていた。「日本選手と対戦すると、これまではみんなが相手を応援したけど、今回は私も日本人として見てくれるのが分かった」。会場のあちこちから飛ぶ「ナオミ!」の声援。それが、かえって重圧になったという。
大阪市で生まれ、3歳の時に米ニューヨークへ移住。シャイな性格を案じてのことか、異文化に早くなじんでほしいとの配慮か、学校からは、家庭でも日本語を話さないよう指導された。幼い頃にしゃべれた日本語も今ではほとんど忘れてしまった。なのに、日本のファンが受け入れてくれたことがうれしかった。
コートを離れた素顔は、多感な年頃そのもの。「原宿や渋谷に行くのが大好き」で、ケンドリック・ラマーやカニエ・ウェストといったラップやヒップホップを好む若者だ。「このルックスなので、アメリカでも目立つ存在だったと思う。小さい時は勝ち進んでも、それほどたくさんの人に応援されなかった」。告白には、抱えるコンプレックスや、もっと大勢に祝福されたいという思いがにじむ。
■「女王」目指せ…