国の来年度当初予算案の大枠が固まった。高齢化で社会保障費が膨らみ、一般会計の総額は97兆円台後半と、6年連続で過去最大を更新する。税収は59・1兆円と、1991年度以来27年ぶりの高水準を見込み、国の借金である国債発行額は当初予算としては8年連続で減らす。
政府は18日の「大臣折衝」を経て当初予算案の詳細を固め、今年度補正予算案とともに22日に閣議決定する予定。一般会計の総額は、今年度当初予算の97兆4547億円を数千億円上回る方向で最終調整している。
全体の3分の1を占める医療や介護などの社会保障費は約33兆円とする。診療報酬の薬価の引き下げなどで、高齢化による自然増を約6300億円から5千億円程度に抑える。防衛費は、北朝鮮問題に対応したミサイル防衛などの費用が膨らみ、過去最大の約5・2兆円となる。公共事業費なども含めた一般歳出全体では59兆円弱とする方向だ。
地方自治体に配る地方交付税交付金は、地方税収の伸びを見込んで今年度予算より減らし、15兆円台半ばにする。国債の返済や利払いにあてる国債費も微減とし、23兆円台半ばにする。
一方、税収は今年度よりも約1・4兆円の増収を見込む。来年度の政府経済見通しで国内総生産(GDP)の成長率を実質1・8%とする方針で、過去最高だった90年度(60・1兆円)、91年度(59・8兆円)に次ぐ水準になると見積もる。これにより、国債発行額は今年度より減らして約34兆円にする方針だ。(中村靖三郎)