天皇陛下の退位に伴う皇位継承の儀式のうち、皇位のしるしとされる神器などを引き継ぐ「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」について、政府は女性閣僚らの参列を初めて認める方向で検討に入った。明治期の旧皇室典範で男系男子による皇位継承が定められて以降、女性が参列した例はないという。
剣璽等承継の儀は新天皇が即位するうえで最初の儀式。古くは「剣璽渡御(けんじとぎょ)の儀」として行われ、1989年1月7日に天皇陛下が即位した際、初めて憲法が定める国事行為として行われた。皇族のほか、国民の代表として竹下登首相や閣僚、衆参両院の正副議長、最高裁長官らが参列。内閣に女性閣僚はおらず、参列者全員が男性だった。
政府は、2019年4月30日に陛下が退位し、5月1日に皇太子さまが即位する際にもこの儀式を国事行為として行う。この時点で閣僚や三権の長に女性がいることを想定し、参列を容認する方向で検討する。
ただ、皇族の立ち会いは前回と同じく男性皇族に限る方向だ。女性皇族の立ち会いが女性・女系天皇の議論につながることを避けようとの判断からだ。政府関係者は「皇位継承の儀式なので、皇位継承権のある男性皇族しか立ち会えない。参列者は皇位継承権とは関係ないので、女性閣僚の出席は問題ない」と話す。
政府は来年1月上旬にも菅義偉官房長官をトップとする皇位継承の準備委員会設置を閣議決定し、初会合を開いて、儀式のあり方を本格的に検討する。専門家の中には、女性皇族の立ち会いを認めるべきだとの声もある。