新幹線のトラブルに関して会見するJR西日本の来島達夫社長=5日午後、大阪市北区、橋本弦撮影
博多発東京行きの新幹線「のぞみ34号」(N700系、16両編成)の台車に亀裂が見つかった問題で、JR西日本は5日、来島(きじま)達夫社長の月額報酬の5割を3カ月返上するなど役員ら計12人の処分を発表した。鉄道本部長の吉江則彦副社長は同日付で退任し、代表権のない取締役に降格する人事異動も併せて発表した。
今回の社長の処分は、107人が死亡、562人が負傷した2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故が起きた際の当初と同規模という。
この日、会見した来島社長は自身の辞任は否定したうえで、「安全マネジメントに関係する役員で責任を負う」と強調。真鍋精志会長は月額報酬の3割を3カ月、吉江副社長は同5割を3カ月、森川国昭新幹線管理本部長は同3割を1カ月の減額処分とした。
来島社長は「新幹線に対する信頼回復に向け、一丸となって進んでいく中で、責任を果たすことが必要。新幹線が安全だと言っていただけるよう努力して参りたい」と述べた。
組織の見直しでは、副社長を2人から4人に増やし、鉄道本部長兼任とは別に新幹線担当を新設し、安全体制の強化を図る。
台車の亀裂は外枠の上部約3センチまで入って破断寸前だったが、博多―新大阪で乗務員らが異音や振動など計30件の異常に気付きながら、名古屋まで約3時間走り続けた。これまでの社内調査では、保守担当の「床下(点検)をやろうか」との申し出を指令員が聞き逃すなどしたことが判明している。
JR西は、検証内容について第三者の意見を求めるため、有識者会議(座長=安部誠治・関西大教授)を8日に設置。3月末までに評価や提言を取りまとめてもらう。さらに車両に異常があった際に迅速に点検できるように保守担当の社員を増やして駅に常駐させるなど、新たな安全対策を進めるとした。(波多野大介)