アフリカ南部ジンバブエで軍が政権中枢を掌握した問題で、与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU―PF)は19日、緊急の会合を開き、ムガベ大統領(93)の党首解任を決めた。新党首には、副大統領を解任されたばかりのムナンガグワ氏(75)が選ばれた。ムガベ氏の大統領職の退任も不可避との見方が強まっている。
同党中央委員会の緊急会合は、10地方支部の大半がムガベ氏の解任を求めたことを受けて開かれた。ムガベ氏の妻グレース氏(52)や複数の側近の党からの追放も決めたという。ムガベ氏にとって、37年にわたって自身が率いてきた党から見放されたのは大きな痛手だ。
同党は、20日正午までにムガベ氏が大統領職も退任しなければ、21日に議会で弾劾(だんがい)手続きを進める意向を示した。
首都ハラレの中心部では党首の解任決定を受け、大通りに配置された軍の兵士に手を振ったり、写真を撮ったりして喜びを表現する市民の姿がみられた。
一方、政府機関紙「ヘラルド」は、15日から自宅軟禁状態にあるムガベ氏が19日、軍と2度目の会談に臨んだと伝えた。会談には今回の軍の行動を主導したとされるチウェンガ司令官が出席したとの情報もある。
軍はクーデターとの批判を避けるため、ムガベ氏の尊厳を保ったうえで、退任を求めているとみられる。前回の会談では、ムガベ氏は退任要求を受け入れず、後継に意欲を見せる妻グレース氏の安全の確保などを求めたという。(ハラレ)