ワシントンで16日、委員会での証言を終え連邦議会を後にするバノン氏=ランハム裕子撮影
トランプ米政権のロシア疑惑を捜査するマラー特別検察官が、バノン前大統領首席戦略官を大陪審に召喚したことが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が16日、関係者の話として伝えた。
NYTによると、召喚状が出されたのは先週。マラー氏がトランプ氏の側近を務めた人物を大陪審に召喚したのが明らかになったのは初めて。バノン氏自身が捜査対象ではないとみられ、召喚は捜査への協力を求める狙いの可能性があるという。
バノン氏は大統領選でトランプ陣営の選対トップを務め、勝利に貢献した最側近の一人だが、昨年8月に大統領首席戦略官を更迭された。マラー氏はトランプ氏側とロシアとの関係のほか、トランプ氏の司法妨害疑惑についてもバノン氏の証言を求めるとみられる。
今月発売された政権の内幕本で、バノン氏が大統領選中にロシア人弁護士と面会したトランプ氏の長男らの行為を「反逆的で非愛国的」と発言したと記述された。トランプ氏が「小汚いバノン」などと猛批判し、両者の関係が決裂状態になっていた。
バノン氏は16日、非公開で行われた下院情報特別委員会でロシア疑惑に関する証言を行った。米メディアによると、バノン氏は政権に関する多くの質問で証言を拒否した。同委員会のシフ議員はホワイトハウスがバノン氏に箝口(かんこう)令を敷いたと批判。委員会としてバノン氏を召喚し、再度証言を求めるという。(ワシントン=杉山正)