八木研のショールームには洋風家具のような仏壇が数多く並ぶ=大阪市北区
洋風の生活スタイルが広がり、マンションなど和室のない家が増えました。それに合わせ仏壇も、コンパクトでスタイリッシュなものが次々に登場。大きくおごそか、というイメージが変わってきています。
きりとりトレンド 話題の商品を紹介
仏壇メーカー「八木研」(大阪市)のJR大阪駅近くのショールーム。常時100本ほど展示する仏壇は、扉を閉めると洋風の戸棚やタンスにしか見えないものばかりだ。
「お客さんの6割はリビングや洋室に置かれます。実家の仏壇は大きすぎて引き継げないと、買い替える人も多いです」。広報の西田理亜さんが説明してくれた。
ほかの家具の上に置くタイプや壁掛けタイプなど省スペース商品の人気が高く、売れ筋の価格帯は30万円前後。キリスト教の十字架を飾ったり、無宗教で遺影だけ置いたりしても、とくに違和感がない。
同社は、こうした家具調の仏壇を1984年につくり始めた草分けだ。当初は「こんなものは仏壇じゃない」と批判も受けたが、都会のマンション住民などに支持されて徐々に普及してきた。メーカーの数も増え、仏壇店の紹介サイト「いい仏壇」を運営する鎌倉新書(東京都)の調査では、今はこうした家具調や小型の仏壇を買う人が6~7割。伝統的な唐木仏壇や金仏壇のシェアは2割に満たない。
大手のはせがわ(福岡県)も、家具大手の「カリモク家具」(愛知県)と共同開発した仏壇を15年から販売。仏壇メーカーの発想を変え、現代の住まいに合うインテリアとして開発した。今や売り上げの大きな割合を占めるようになっているという。
国の商業統計によると、仏壇を含む「宗教用具小売業」の14年の販売額は02年に比べて約4割減。はせがわの担当者は、「ライフスタイルや価値観の多様化に対応しないといけない」と話す。(清井聡)
重さ4キロ 壁に掛けられる
八木研の「ピウマ」は、壁に掛けられる。縦横が40cm×27cm、奥行きが20cmと小さく、重さも4kg程度。ナチュラルで淡い色調の北欧家具を思わせるデザインで、リビングにも合う。専用台にセットすれば、家具の上に置くこともできる。12万円。
本棚に収まるA4サイズ
いのりオーケストラの「A4仏壇」は、縦横の長さを21cm、29.7cmにしたA4用紙サイズ。雑誌やファイルと同じ大きさで、本棚やキャビネットに収まる。木製パーツの組み合わせで、何十通りもの飾り方ができる。価格は5万円。
カリモク家具とのコラボ
はせがわの「SOLID BOARD JUST」は、高級家具で知られるカリモク家具とのコラボ商品。大きめの位牌(いはい)も入るよう内部を広くとりつつ、奥行きは約30cmに抑えた。部屋の色調にあわせて5色から選べる。価格は仏壇が23万~25万円、下台が12万~13万円。
中は伝統 外は現代的
浜屋の「今昔」は、一見すると現代的だが、扉を開けると伝統的な荘厳さが残るデザイン。代表的な家具材のウォールナットを使い、和室、洋室のどちらでもあうように仕上げた。花立てや香炉など基本的な仏具つきで、47万9800円。
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主なメーカーのおすすめ商品から選びました。価格は税抜きで仏具の値段は原則、含まれません。(きりとりトレンド)