元三井住友銀行副頭取の車谷暢昭氏
東芝は、元三井住友銀行副頭取の車谷暢昭(のぶあき)氏(60)を会長に充てる人事を固めた。4月にも就任する見通し。債務超過を解消した後の成長戦略づくりと原発事業のてこ入れのため、社外から経営陣に迎え入れる。
同行は東芝の主力取引銀行の一つで、車谷氏は東芝と関係が深かった旧三井銀行の出身。福島第一原発事故後に東京電力を支援する枠組みの策定などを手がけ、原発事業に通じている。昨年5月に英国の大手投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズの日本法人会長に転じていた。
米国の原発事業で巨額の損失を出し、経営に深刻な影響を与えた責任を明確にするため、原発事業を統括していた志賀重範会長が昨年2月に引責辞任。会長職は空席となっており、東芝は社外から民間人を迎える検討を進めていた。
東芝は昨年12月に実施した約6千億円の増資などで債務超過の解消と上場廃止の回避が確実視されているが、稼ぎ頭の半導体子会社「東芝メモリ」の売却を控え、新たな収益源づくりが課題になっている。売却後の柱に据えたいインフラ事業の急成長は期待できず、原発事業で収益を確保できないと経営は苦しくなる。