トヨタ自動車など自動車大手の労働組合が14日、会社側に今春闘の要求書を提出し、労使交渉が本格化した。各社とも、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)を、3年連続になる「月3千円」で要求。安倍政権が求める「3%以上の賃上げ」に向け、企業側がどこまで応じるかが焦点になる。
この日午前、愛知県豊田市内のトヨタ本社では、河合満副社長が労組の西野勝義委員長から要求書を受け取った。河合氏は「労使それぞれが競争力強化のために何をすべきか覚悟を持って示し合いたい。どのようにお答えすべきか、真摯(しんし)な話し合いを尽くしていく」と話した。
トヨタ労組は、期間従業員で日給150円の引き上げも求めた。月額に換算すると正社員と同じ3千円の要求に相当する。年間一時金(ボーナス)では、昨年より0・3カ月分多い6・6カ月分を求めた。
一方、無資格検査問題などの影響で本業の収益が低迷する日産自動車は、一時金の要求を5・8カ月分と、昨年の6・0カ月分から引き下げた。
自動車大手の多くは、中国など海外での販売が好調で業績を伸ばしており、ベアには5年連続で応じる公算が大きい。ただ、自動運転などの新技術でグーグルなど大手IT企業と競争を繰り広げており、開発コストの増加を余儀なくされている。政権や経団連が期待する「3%」の水準に達するかは見通せない。
日立製作所など電機大手労組の多くは15日に要求する。集中回答日は3月14日に設定されている。