会見で業務改善について説明するコインチェックの大塚雄介取締役=13日午後8時、東京都渋谷区、恵原弘太郎撮影
仮想通貨交換業者「コインチェック」(東京都渋谷区)が顧客の仮想通貨NEM(ネム)約580億円分を不正流出させた問題で、同社は13日、金融庁に再発防止策や経営体制の強化策を盛り込んだ業務改善計画を提出した。顧客から預かっていた日本円の出金も再開したが、他のすべての仮想通貨はまだ引き出せない。流出したNEMの所有者への補償の時期なども未定。業務の正常化は見通せない。
同社は改善計画の項目として、①問題の原因究明②顧客対応③経営管理体制の強化④再発防止策などを盛り込んだと発表。ただ13日夜会見した大塚雄介取締役は詳細を明かさなかった。
大塚氏は、再開した日本円の出金は401億円が完了したとして、「明日以降も、(出金手続きがあれば)継続して出金していく」とした。同社は金融庁にまだ登録が認められていない「みなし業者」だが、登録を目指して事業を継続する意向は変わらないとして、「一歩一歩改善を進めており、再生に向けてやっている」と述べた。他社との資本提携や増資は、「検討中でもあり、現時点でお答えできない」とした。
同社は流出したNEMの所有者26万人に463億円を返金する方針で、大塚氏は「補償はある程度めどが立った」とした。しかし「明確な時期が決まればお知らせする」とするにとどめ、具体的な説明はなかった。仮想通貨の引き出しなど取引再開も「外部のセキュリティー会社と安全を確認している。確認できれば再開する」とだけ語った。
不正流出は先月26日に発生。金融庁は同29日に業務改善命令を出し、今月2日に立ち入り検査に入った。13日は改善計画の提出期限だった。
金融庁は同社の安全管理体制に危惧を抱き、不正流出の再発を懸念する。改善計画も必要なら見直させるほか、システムの安全確認も時間がかかりそうだ。問題発覚後、仮想通貨相場は下落傾向だ。同社の対応が遅れれば、仮想通貨の引き出しができないまま損失を被った顧客の不満が高まる可能性がある。(榊原謙、真海喬生)