リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、検察当局は、公正取引委員会の告発を受けた上で、法人としての大手ゼネコン4社と、逮捕した大成建設元常務の大川孝容疑者(67)、鹿島の営業担当部長大沢一郎容疑者(60)の2人をそれぞれ独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪で23日に起訴する方針を固めた。
検察当局は公取委と22日に大手4社の刑事処分を話し合う「告発問題協議会」を開き、公取委から告発を受ける内容を確認した。両容疑者と共謀したとされ、在宅で調べていた大林組元副社長と清水建設元専務については、両社が公取委に不正を自主申告し、2人も捜査に協力した点や関与が薄い点などを考慮し、起訴を見送る方針とみられる。
法人としての4社に対しては、業務に関連して従業員が談合した場合、法人にも罰金を科すと定めた独禁法の規定に基づき、刑事責任を問うべきだと判断したとされる。
検察当局は今月2日、談合を否定した大川元常務と大沢部長を独禁法違反容疑で逮捕していた。
一方、JR東海の柘植康英社長は22日、東京都内で定例会見を開き、大手ゼネコン4社やリニア担当者が起訴された場合も、判決まで工事契約から排除しない方針を明らかにした。
柘植社長は「実績、技術力、経営力に優れた大手各社が参加できなくなれば、大きなマイナスで、当社の利益も損ないかねない」と説明。鹿島と大成建設が談合を認めていないことも理由として挙げた。