パキスタンの首都イスラマバード郊外の新空港が4月18日、報道陣に公開された。設備を大幅に増やし、慢性的な混雑や遅延の解消を目指す=クラム・バット氏撮影
パキスタンの首都イスラマバード郊外に1日、新しい国際空港が誕生した。旧空港は発着の遅れや混雑が常態化し、「世界最悪の空港」とも呼ばれていたが、新空港は設備を大幅に拡充して汚名返上を図る。醜聞に揺れる政権与党が、開港にあやかって人気浮揚につなげる狙いもある。
アバシ首相は1日、新空港の式典で「新空港は国家開発の鍵」と開港を宣言した。新空港は首都中心部から約40キロの郊外に新しく建てられた。航空当局などによると、約90の搭乗手続きカウンターや約2千台分の駐車場を備え、旧空港の倍近い年900万人の利用を見込む。ターミナルと機体をつなぐボーディング・ブリッジ(搭乗橋)も初めて設置された。
旧空港は設備の老朽化や職員の怠慢から旅行情報サイトなどで「世界最悪の空港」の一つに挙げられ、利用者からは「まるで刑務所」と不評を買ってきた。
一方、新空港は2007年の着工後も工事の遅れが続き、当初予算の3倍近い1千億ルピー(約950億円)が投じられたことで野党の批判を受けてきた。政権与党はシャリフ前首相が汚職疑惑で失脚したり、離党者が相次いだりして苦境に立たされており、イメージを回復させたいアバシ首相は7月予定の総選挙を前に突貫工事で開港にこぎ着けた形だ。(イスラマバード=乗京真知)