愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から逃走したとして単純逃走容疑で逮捕された平尾龍磨容疑者(27)が、潜伏先の広島県尾道市の向島(むかいしま)から泳いで本州側に渡った後、「現金や健康保険証を盗んだ」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。平尾容疑者は逃走23日目の4月30日に広島市内で逮捕された際、現金約2万円などを所持しており、愛媛県警が関連を調べている。
愛媛、広島両県警によると、平尾容疑者は4月8日夕、作業場から逃走。平尾容疑者の説明では、向島にある別荘の屋根裏などで過ごした後、同24日夜に泳いで本州側に渡り、尾道市の無人の民家で数日間潜伏。市内で現金や健康保険証、バイクを盗み、そのバイクで移動したJR安芸長浜駅(広島県竹原市)から同29日夜以降に電車でJR広島駅へ行ったという。
捜査関係者によると、安芸長浜駅近くでは、逃走に使ったとみられるバイクが見つかった。逮捕直前に立ち寄った広島駅前のネットカフェでは、盗んだとみられる他人名義の保険証を提示していたという。
一方、平尾容疑者が本州側に渡る前に隠れていたとされる向島の別荘の屋根裏から見つかったメモは長文で、「刑務官にいじめられた」という内容のほか、「他の受刑者から嫌がらせを受けていた」という趣旨の記述もあったことも捜査関係者への取材で判明した。松山刑務所によると、今のところ平尾容疑者と他の受刑者とのトラブルは確認できていないという。