シェアハウス融資の不正問題で、地方銀行スルガ銀行(静岡県沼津市)が設置した第三者委員会の中村直人委員長(弁護士)が22日、朝日新聞の取材に応じた。同様の不正が横行している中古1棟マンション投資の融資も含めて幅広く実態を調べるとし、結果は8月末にも公表するという。
第三者委員長「スルガ銀社長の覚悟感じた」 融資問題で
文書変造容疑でスルガ銀行員ら告発 シェアハウス投資
シェアハウス投資では不動産業者が「家賃保証」で会社員らをオーナーに勧誘。業者はオーナーの貯蓄などを改ざんし1棟あたり1億円前後の融資を引き出した。スルガ銀も不正を認識しながら貸したとみられる。シェアハウス事業の破綻(はたん)でオーナーは借金が返せなくなった。スルガ銀の関連融資は2035億円、1258人分にのぼる。
スルガ銀は15日、相当数の行員が不正を認識していた可能性があるとした社内調査結果を公表。第三者委で詳しく調べるとして、中村氏ら弁護士4人が委員に就いた。
中村氏は、スルガ銀が社内調査で「増収増益のプレッシャーから営業が審査より優位に立った」とした点は「踏み込んだ印象」としたうえで、それでも「事実認定は不十分」と指摘。電子データの分析や関係者からの聞き取りで真相究明を進めるとした。「真っ白な状態で調べ、問題点をさらに深掘りする」とし、「経営者や取締役会の責任についても検討したい」と述べた。
朝日新聞の取材では、融資での不正は中古1棟マンション投資でも横行していた。中村氏は「類似の商品性を持つものは問題がありうる。特定の支店や担当者に限定せず、報道なども参考にして視野を広げて調べる」と述べた。調査結果は「頑張って8月中には答えを出したい」と話した。
中村氏によると、第三者委の委員長への就任は、スルガ銀の調査結果が公表される前日の14日に同行の米山明広社長から要請された。米山氏に「やるなら公正にやらないと意味がない」とクギを刺すと、米山氏も了承したという。中村氏は「徹底的にやってほしいという覚悟が感じられたので、引き受けることにした」と語った。(藤田知也)
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