昨年2月、大学付属の高校の入試に向かう受験生と激励する塾関係者ら=横浜市
系列の大学に進学できる「大学付属校」といわれる中学、高校の人気が、今年、これまで以上に高まっている。特に顕著なのが、早稲田、慶応や、「MARCH」と言われる明治、青山学院、立教、中央、法政といった大学に連なる学校だ。新大学入試の初の受験生となる中3の高校入試だけでなく、中学入試でも志望者を増やす背景に、何があるのか――。
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今年11月上旬に開かれた、慶応義塾志木高校(埼玉県志木市)の学校説明会。1回目の開会前から会場は満席。立ち見でも入りきれなかった人たちが、1時間半後に始まる2回目に向けて列をなした。同校によれば、一昨年度は約2400人の参加だったが、昨年度は約2700人、今年度は約2800人に上った。「2回目まで立ち見が出たのは、2回の説明会にして以降、初めてです」と宮橋裕司主事は話す。
池袋駅から最速で約20分、新宿駅や渋谷駅からも30分強の志木駅から徒歩圏内の立地にある同校。在校生の約4割は都内から通う。慶応義塾高校(横浜市)、慶応義塾女子高校(港区)と同じく、大半が慶応大学に進学する。
「今年は恒例行事と台風が重なり、来校できない受験生がいたことも影響していると思います。ただ、根底には新しい大学入試の影響があるでしょう」と宮橋主事は言う。
近くにある立教新座高校(埼玉県新座市)の学校説明会も、昨年度は前年度比約70人増、今年度もさらに約200人増えた。同校も卒業後は大半が立教大学に進学する。「新しい大学入試自体がまだ不透明なので、その不安もあるかとは思います」と山内辰治副校長。
駿台中学生テストセンターによれば、今年11月の同センター模試の中3志望状況では、男子の早慶MARCHの大学付属校・系列校の高校の志望者数は、昨年11月模試の延べ約9550人から約660人増加した。女子も、慶応女子を第1希望とする生徒が前年比の1・3倍に、早稲田大本庄、青山学院、明治大明治、中央大付属なども志望者を増やしている。
同センターの山口勇課長は「昨年は、大学入試の時に浪人すると新入試を受けなければならなくなる受験生で付属人気が高まった。今年もある程度は予想していたが、予想以上に増やしている」と話す。
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