今回の改装で「受付」を撤去し、「総合案内」(左)を店頭の一部に設置した(大塚家具提供)
大塚家具が旗艦店の有明本社ショールーム(東京都江東区)を刷新する。販売が低迷する大型店のスリム化の一環で、店舗の賃料を削減。「会員制」の象徴でもあった入り口の「受付」をなくし、内装を一新するなど、創業者の大塚勝久氏が進めた旧来路線との違いをさらに鮮明にした。
15日に公開した店内は、色やサイズ違いの商品は置かず、商品点数を従来より3千点減らした。全体の面積を約2割縮小し、無駄を省いて賃料の削減につなげた。展示方法も、これまで種類ごとにずらりと並べていたが、「収納」や「ドラマで使われた商品特集」など、テーマごとに五つのエリアに分け、コーディネートを提案する形に変えた。
有明の店舗は1996年に開業。当初は入り口に受付を設置し、会員登録しないと入店できなかった。当時の受付は、店の中まで見えない重厚なものだった。その後、改装で受付を簡素化。会員制も廃止したが、今回の改装で撤去するまで受付は残っていた。「会員制を廃止し、入りやすい店を打ち出しているが、そのイメージを伝えきれていなかった」と勝久氏の長女の久美子社長はいう。
結婚や自宅の新築時のまとめ買い需要を取り込み、成長してきた路線は、行き詰まっている。特に郊外の大型店で販売が低迷しており、先月には創業の地の埼玉県春日部市の店舗を閉店するなど大型店の整理縮小を進めている。
大塚家具は、2年連続で純損益の赤字を計上。2018年1~3月期も営業赤字が14億円と、減収のペースにコスト削減が追いついていない状況だ。久美子社長は「(お家騒動の)イメージ払拭(ふっしょく)まで至っていない。一時的な下振れは仕方ないので旧来型の店を縮小し、改善を進めていく」と話した。(牛尾梓)