国立がん研究センターは30日、15~39歳のAYA(アヤ)(Adolescent and Young Adult=思春期と若い成人)世代のがんについて、種類別の罹患(りかん)率を公表した。1年間にがんと診断されるAYA世代は推計約2万1千人。10代は白血病、30代は女性の乳がんが最多だった。40歳未満に多いがんの種類を初めて分析し、年齢層ごとに大きく異なる実態がわかった。
2009~11年にがんと診断された患者のうち、診断の根拠が明確など一定の基準を満たした27府県のデータを集め分析した。人口10万人あたりで1年間にがんと診断された人数を示す罹患率は15~19歳が14・2人、20代31・1人、30代91・1人。人口に当てはめると、15~19歳約900人、20代約4200人、30代約1万6300人。男女別では、男性約7300人、女性約1万4100人だった。
種類別にみると、男女合わせて15~19歳では、14歳以下の小児に最も多い白血病が同じく最多で24%。20~29歳では卵巣がんや精巣がんなどの「胚(はい)細胞腫瘍(しゅよう)・性腺腫瘍」が16%、30~39歳では女性乳がんが22%と最多。年齢層ごとに特徴がみられた。成人のがんに多い上皮性のがんの割合は、15~19歳で15・5%、20代は46・1%、30歳代で70・8%と、年齢が上がるにつれて成人系のがんの割合が急増していた。
推計で年間約100万人ががんになる中、患者数が少ないAYA世代の対策は遅れていると指摘されてきた。17年度から22年度までの「第3期がん対策推進基本計画」にAYA世代のがん対策が初めて明記されたことも受けて今回、分析をした。
集計した国立がん研究センターの片野田耕太・がん統計・総合解析研究部長は「AYA世代と一言で言っても年齢によってがんの種類は全く違っていた。進学や就労などのタイミングとも重なる世代で、2万人という患者数だけでは社会的なニーズは分からない部分もある。詳細な分析によって、地域ごとの医療需要の把握が可能になり、どの地域にどれぐらいの専門医が必要かの検討にも役立てられる。医療体制の整備など支援対策を進めてほしい」と話している。