階段、ブロック塀、外に置かれた三輪車……。全て段ボールなどの廃材で作られている=神戸市中央区 建物の中にいるはずが、目の前にあるのは、昔ながらのまちの風景。近づいてよく見ると、電柱も、ガードレールも、玄関の引き戸も、階段も……すべて段ボールなどの廃材で作られている。そんな作品を手がけているのが、関西を拠点に活動するズガ・コーサクとクリ・エイトという2人の芸術家。神戸市中央区の「KOBE STUDIO Y3」で2人展「仮の風景 あっ パートⅡ」が開かれている。 ズガ・コーサクこと岸川のぞむさん=大阪市在住=と、クリ・エイトこと岡本和喜(わき)さん=神戸市在住=は、2009年から2人での作品制作を始めた。神戸のギャラリーから個展の依頼を受けた岸川さんが、知り合いの岡本さんに「2人でやらないか」と声をかけたのがきっかけだった。「ズガ・コーサク」「クリ・エイト」という名前も、そのときに使い始めた。 初めて作ったのは「駅」の風景。作った作品が次の展示の依頼へとつながっていき、これまで関西を中心に西日本のギャラリーやアートイベントなどで、「路地裏」「交番」「銀行」などの光景を段ボールで再現してきた。 今回のテーマは「文化住宅」。4月1日から会場で公開制作に取りかかり、展示が始まる6月12日まで約2カ月かけて完成させた。これまでで一番、制作期間が長い作品になった。 本物に見えるよう、細部まで工夫が凝らされている。ニスのように光沢のある塗料を使ったり、色を重ねて金属のさびを表現したり。アパートの外壁のざらざらした質感は、塗料におからを混ぜて表現した。展示の中に入ることもでき、来場者の動きにセンサーが反応して、作動する仕掛けもある。 2人はそれぞれ個人でも作家活動をしていて、平面や立体作品、インスタレーションなどを手がけている。2人で作品を作るときは、形を作るのが岡本さん、色を塗るのが岸川さんという役割分担をしているという。 「共同制作だから、自分の思っているものとは、違うものができあがる。『えーっ』と思うこともあるけど、それが楽しい」と岸川さん。岡本さんは「毎回『こんなふうになるんや』という驚きがある。お互いに『いつまでやれるか』と言っているけれど、体が動く限りは続けたい」と話していた。 30日まで。入場無料、25日休館。30日午後2時からは、展示室でパフォーマンスがある。KOBE STUDIO Y3(海外移住と文化の交流センター内、078・222・1003)。(松本紗知) |
段ボールでまちを再現 ズガ・コーサクとクリ・エイト
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