セネガル戦前半、ボールを奪う大迫⑮=24日、関田航撮影
世界ランキング8位のポーランドは、H組の4カ国でワーストの5失点。センターバック(CB)が弱点といえそうだ。28日、決勝トーナメント進出をかけて戦う日本は、スルーパスでゴールへの突破口を開きたい。
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守備の要であるCBは、布陣が4バックでも、3バックでも固定するのが定石。しかし、ポーランドには2試合ともフル出場したCBタイプの選手は、1人もいない。加えて、スピードに難があるのも明らか。公式データを見ると、CBで最も長い計約180分(追加時間も含む)プレーしたパズダンは、最高時速28・37キロ。2番手のベドナレク、3番手チョネクとも同30キロに満たず、同30・6キロを記録した日本のCB吉田と比べても速さで劣っている。
そうした傾向を裏付けるのが、失点パターンだ。5失点のうち3点は、守備陣が相手の速さに置いてけぼりにされる格好で喫した。CBがボールの動きを追うあまり、相手FWへの警戒を緩めて、中央から外へとつり出される「癖」も見てとれる。
ポーランドのベドナレクは身長189センチと大柄で、データ収集のOpta社によると、3度あった空中戦の機会で全勝。パズダンとチョネクも180センチを超える身長があり、空中戦の勝率は5割を超える。体格で分が悪い日本は、ポーランドの注意をサイドに引きつけ、前線のFW大迫へ一気のパスを通すのが理想だ。
同社によると、今大会で、日本が、決定機をつくったスルーパスは0本。ただ、それに近い成功を体験している。コロンビアとの初戦で、大迫への縦パスをきっかけに先取点につながるPKを得た。滑らかなパス回しで好機を作るのは、香川や乾、柴崎の真骨頂なだけに、中盤の連係で相手を揺さぶり、守備ラインの背後を狙いたい。速さがある武藤を「切り札」に使うのも有効策になりそうだ。
日本は、引き分け以上で自力での1次リーグ突破が決まる。だが、ポーランドは敗退が決まっているとはいえ、世界的な点取り屋のレバンドフスキ=バイエルン・ミュンヘン(独)=を擁し、欧州予選10試合で計28得点と攻撃力がある。2002、06年の本大会では、2連敗後の3戦目に白星を挙げている。日本が2大会ぶりの16強入りを果たすには、守りに徹するだけでなく、強豪のもろさを突く姿勢を忘れてはならない。(富山正浩)