総務省は24日、町村議会のあり方を議論した有識者会議の議事録は公文書にあたらないと判断、情報公開請求で不開示にしたと明らかにした。野田聖子総務相は「議事概要をつくるための参考メモで議事録ではない」と説明したが、政府の公文書ガイドラインに反するとの指摘が出ている。
問題の議事録は、昨年7月から7回開かれた「町村議会のあり方に関する研究会」(座長・小田切徳美明治大教授)の記録。高知県大川村が検討した町村総会などが議論された。非公開で、担当課職員が内容を要約して発言者を伏せた議事概要のみを公表していた。
総務省によると会議の記録は、公費で発注した業者が出席者の発言を録音し、「テープ起こし」をして文書にしていた。担当課の職員2人が議事概要を作成するために使用。野田氏は会見で「テープ起こしは参考メモで行政文書にあたらない」との認識を示した。
一方、情報公開請求した毎日新聞は、不開示決定後にテープ起こしを入手。山崎重孝・自治行政局長が会議で、町村総会に否定的な省の意向に沿うよう「議論をリード」などと報じた。
政府のガイドラインでは、審議会や懇談会は意思決定の過程を検証できるよう、発言者や発言内容を記した議事の記録を作成するとしている。公文書管理に詳しい長野県短期大の瀬畑源准教授は「公金を使ったテープ起こしで、業務で作って組織内でも共有している。公文書管理法に照らしても行政文書にあたり、請求されれば公開しなければいけない文書だ」と指摘した。(大久保貴裕、又吉俊充)