トランプ米政権が北朝鮮との非核化交渉で、当初求めていた「完全かつ検証可能、不可逆的な非核化」(CVID)という言葉を使わないようにしていることが分かった。米政府関係者によると、政権内で7月初旬、「CVIDを使わないようにせよ」という指示が出たという。CVIDという文言で圧力をかけられることを嫌う北朝鮮への配慮とみられる。
6月12日にトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による首脳会談が開かれるまで、トランプ政権は完全(Complete)、検証可能(Verifiable)、不可逆的(Irreversible)な非核化(Denuclearization)の早期実現を目標に掲げ、頭文字のCVIDという略称を頻繁に使っていた。しかし、首脳会談で発表された共同声明にCVIDは盛り込まれず、使われた表現は「完全な非核化」だった。
北朝鮮との交渉を担うポンペオ国務長官らトランプ政権の閣僚らは最近、CVIDに代わって、「最終的(Final)、最大限(Fully)の非核化」(FFD)や「最終的、最大限に検証された非核化」(FFVD)という文言を使うようになっている。
25日に開かれた上院外交委員会で、ポンペオ氏は出席議員から「あなたは今日、『最終的、最大限に検証された非核化』という文言を使った。国連安保理では(北朝鮮に求めるのは)『完全、不可逆的、検証可能な非核化』だ。これらは同じ意味か」と問いただされた。
ポンペオ氏は「まさに同じことだ」と回答。議員から「だったら、なぜ違う言葉を使うのか」と問い詰められると、「時に人は逸脱することも必要だ。喜んでCVIDを使うが、どれも意味は同じだ」とけむに巻いた。ある米政府関係者は「Completeは完璧という意味があるが、Fullyはあいまいな感じがする」と指摘する。
米国とともにCVIDを訴えて…