台風12号の接近に備え、西日本豪雨の被災地では28日、住民や自治体が対策に追われた。新たに開設された避難所に身を寄せる人もおり、住民らは二次被害に不安を募らせている。
深夜から未明に東海地方上陸か 異例台風、通過後も注意
台風12号、西日本で二次災害の恐れ 備えておくことは
朝日新聞のまとめによると、豪雨の被害が大きかった広島、岡山、愛媛の3県では28日午後8時半時点で避難指示(緊急)7件▽避難勧告5件▽避難準備・高齢者等避難開始24件が、延べ37自治体で発令されている。広島県では午後1時時点で、避難所にいる人が27日から824人増え、1928人となった。
土砂災害などにより、107人の死亡が確認されている広島県内では、被災者が二次災害を恐れて自宅の周りに土囊(どのう)を積み上げた。5人が亡くなった広島市安芸区矢野東7丁目の梅河(うめごう)団地で土囊を準備していた女性(65)は「今度雨が降ったら、もう流されるかもしれん。やるだけのことはやっておかないと」。
大規模に浸水し、51人が死亡した岡山県倉敷市真備町。新たに町内に開かれた避難所の「まきび荘」には28日午後7時時点で4世帯9人が避難した。前回は夜中に雨の中を避難し、怖い思いをしたという男性(82)は「家具や畳を外に出してやっと乾いたところだったのに……。また雨が降るので心配だ」と話した。
また同町では、堤防が決壊した真谷(まだに)川と末政(すえまさ)川の堤防に土囊を積んだり、盛り土をしたりして復旧工事を急いでいる。また、末政川では堤防上にカメラを設置し、担当者が水位を24時間態勢で監視する。
豪雨で緊急放流した後、肱(ひじ)川が氾濫(はんらん)した愛媛県西予市の野村ダムと同県大洲市の鹿野川ダムは、台風でダムの水量が増えることを見込み、27日夜から放流を始め、水位を下げている。西予市は今回の台風12号に限り、緊急放流を始めるとの連絡を国土交通省から受けた時点で住民に避難指示を出す。