悪質タックル問題に揺れる日大アメリカンフットボール部の4年生はつらいと思う。だが、関東学生連盟の検証委員会からは「日大アメフト部の学生たちに社会的な成熟、倫理観、常識などの欠如があり、その反省が改善報告書に見当たらなかった」と指摘された。
同部は6月27日、米ワシントン大でコーチ経験がある吉田良治氏から、スポーツマンシップを主題とするセミナーを受けた。吉田氏はセミナーを始めるにあたり、体罰に関する意識を聞いた。
大阪・桜宮高の男子バスケットボール部主将が顧問の暴力などを理由に自殺したことがわかった2013年に、日体大が新入生に行ったアンケートでは、体罰を容認する割合は約1割だったが、日大アメフト部はそれを明確に超える数字だったそうだ。
絶対服従の強圧的なチーム体質の中で自分たちが植え付けられたもの。指導者になることを含めた今後のアメフト人生で、その意識から改善してほしい。
キーワードは「自治」だ。指導者に従うのではなく、自分たちの言葉で議論を交わし、自分たちの手でチームの指針をつくり、自分たちでその歩みの方向性を決めることで、真の再建を果たせると思う。来年、上意下達から脱皮し、選手自らが主役となったフェニックスを私は待っている。(編集委員・中小路徹)