中国・南京で開催中のバドミントンの世界選手権で、3年ぶりに出場した桃田賢斗(NTT東日本)の注目度が高まっている。違法賭博問題から復帰後、初の世界選手権。第6シードながら、バドミントン大国の中国で「優勝候補」とみられ、地元メディアの取材も白熱している。
バド桃田、過ちの重さと向きあった2年 五輪を口にせず
「注目を集めてストレスは感じない?」「これだけ日本のメディアが来るのはあなたの影響か」
31日の1回戦。ウクライナ選手にストレート勝ちした桃田のもとに、中国を中心とした海外メディアが殺到した。取材スペースを確保するために置いてあった仕切りは急きょ外され、約40人の報道陣が囲む形に。世界バドミントン連盟(BWF)のスタッフは「30日に出た地元の英雄、(北京五輪とロンドン五輪金メダリスト)林丹のときもこんなに人は集まらなかった」と驚く。
「期待、力に変えたい」
日本の記者は中国人記者から「東京五輪ではバドミントンと卓球で金メダルをとれると思うか」「桃田の復活をどう思っている」と質問攻めにされた。新華社通信の男性記者は桃田が今年になって2回、リオ五輪金メダリストの諶竜(中国)に勝ったことをあげ、「賭博事件が起こる前はそんなに注目度は高くなかったが、復帰していきなり強い選手を次々と倒している。みんななぜそんなに強くなったのかが気になっている」という。
AFP時事は「34歳になる林丹の年齢的な衰えとともに中国の力が弱まっている」と紹介。2012年ロンドン五輪では全5種目で金メダルをとったが、16年リオ五輪は男子シングルスと男子ダブルスの2種目のみ。昨年の世界選手権男子シングルスはアクセルセン(デンマーク)が優勝しており、「国内で最も人気の男子シングルスの優勝候補にあがる桃田とアクセルセンはマークされている」とBWF関係者はいう。
今大会はリオ五輪銀メダリストのリー・チョンウェイ(マレーシア)が棄権。BWFのファンサイトは男子シングルスの展望記事で桃田の写真を大きく扱い、「日本で41年間、誰も成し遂げなかった初の世界王者になれるか」と紹介した。周囲の過熱をよそに桃田は「注目されているのは期待していただいている表れ。力に変えられるように頑張りたい」と冷静だ。1日の2回戦はオーストリアの選手と対戦する。(照屋健)