2005年に栃木県今市市(現日光市)の小学1年の女児が殺害された事件で、殺人罪などに問われた無職勝又拓哉被告(36)の控訴審判決が3日、東京高裁であった。藤井敏明裁判長は、裁判員裁判だった一審・宇都宮地裁の無期懲役判決を破棄したうえで、改めて無期懲役を言い渡した。
女児は05年12月1日、下校中に行方不明となり、翌2日に茨城県常陸大宮市の山中で、刺殺されているのが見つかった。勝又被告は2日午前4時ごろ、常陸大宮市の林道で殺害したとして起訴された。控訴審では検察側が、殺害時刻を「1日午後2時38分~2日午前4時ごろ」に、場所を「栃木県内、茨城県内、またはそれら周辺」と訴因変更を申し立て、高裁が認めた。
事件から8年あまりがたってから逮捕された勝又被告は取り調べ段階では殺害を認めたが、公判では一貫して無罪を主張。物的な直接証拠が乏しい中、自白の録音・録画の評価などが主要な争点となっていた。
16年4月の一審判決は録音・録画を根拠に自白の信用性を認定し、女児の遺体に残っていた獣毛のDNA型鑑定や、勝又被告の乗用車の走行記録なども考慮して有罪を認定。無期懲役を言い渡した。
控訴審で弁護側は、「強圧的な取り調べが続き、取調官に誘導された」などと、自白に信用性がないと主張。また、遺体に残されていた粘着テープから被告のDNA型が検出されず、複数の第三者のものが見つかった点などを挙げ、「真犯人」が他にいる可能性があると述べていた。
一方の検察側は、捜査段階の供述は「自分の記憶と意思によって供述している」と反論。DNA型についても、「犯人のものが必ず残るわけではない。捜査過程で混入した可能性がある」と主張していた。