贈答用か、業務用か。仕入れた海苔(のり)の使い道を決めるため、ひたすら見たり、触ったり。全商品の判断を一手に担っています。
山本海苔店仕訳技術室課長 清水正望さん(46)
100枚ずつ束ねられた板海苔(のり)が、工場内のラインを手元の作業台まで流れてきた。ひと束を手に取り、帯を外すと、開いてパラパラとめくったり、白い光にかざしたり。1枚を抜き取って電熱ヒーターに挟んで焼くと、名刺大にちぎってパクリ。五感をフル活用して見極めているのは、その海苔の味であり、商品として最適の使い道だ。
創業1849年、東京・日本橋で160年以上の歴史を刻む老舗の海苔店。仕入れた海苔を、高級贈答用から業務用までどの商品に使うかの判断を、その一手に委ねられている。店のブランドで売る全ての海苔が、必ず自身の目の前を通過し、全ロットからサンプルを抜き取って品質を判断する。一日に用途を決める海苔は、約30万枚に上る。
海苔は漁協から仕入れる時点で…