米財務省は3日、北朝鮮による違法な金融取引に関わったとして、ロシアのアグロソユーズ商業銀行など3団体・1個人を制裁対象に加えたと発表した。米国連代表部は国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会に対し、制裁対象に追加するよう要請した。
制裁対象はロシアの銀行のほか、北朝鮮の外貨取引を担う朝鮮貿易銀行のダミー会社2社とモスクワ駐在の朝鮮貿易銀行幹部。いずれも米国内の資産凍結のほか、米国企業との取引が禁止となる。
6月のシンガポールでのトランプ大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談以来、米国が北朝鮮に対する制裁の対象を追加するのは初めて。北朝鮮が反発する恐れがあり、非核化交渉に影響する可能性もある。
ムニューシン財務長官は声明で「引き続き国連と米国の制裁を実施し、北朝鮮による不法な収入の流れを止める。制裁は、最終的、最大限に検証された非核化が達成されるまで維持される」と語った。
トランプ政権は米朝首脳会談前、北朝鮮への圧力を維持しつつも、「北朝鮮に対し、300以上の追加制裁リストを用意している。取引が出来るまで制裁を止めている」と強調。「現在の圧力はそのままだ。追加の制裁が必要なくなることを期待している」などと述べていた。(ワシントン=土佐茂生)