6月末に閉店した名古屋・栄の老舗百貨店「丸栄」から一方的にテナント契約を解約されて損害を受けたとして、岐阜市の美容関連会社が丸栄に約4300万円の賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。今月6日にあった第1回口頭弁論で、丸栄は「約定に基づく解約で有効だ」などと請求棄却を求めた。
訴状によると、美容関連会社は丸栄から「社運を賭けた事業」などと勧誘を受け、昨年1月にテナント契約を締結。期間を5年とし、丸栄3階に出店して美容品などを販売していた。昨年12月に丸栄から今年6月末で契約を解除するという通知を受けた。
美容関連会社は、出店に際して多額の費用がかかったとし、「短期間では到底回収できないことは明らか」と主張。「契約期間を5年間と定めたのに、経済的損失を一切補償することなく、契約を一方的に解約した」と訴えている。丸栄は、約定に基づき6カ月以上前に解約の予告をしたとして「解約権の乱用はなく解約は有効だ」と主張している。丸栄は取材に対し「契約にのっとった契約終了だと考えている。裁判には誠実に対応させて頂く」としている。
関係者によると、丸栄の閉店を巡っては、名古屋市のフィットネスジム経営会社も同様の理由で約3270万円の賠償を丸栄に求める訴訟を起こし、7月9日に和解。さらに別の2社も丸栄に賠償を求める動きがあるという。(仲程雄平)