金融庁が全国の地方銀行に対し、不適正な融資や行員の不正を防止できるガバナンス(企業統治)が行内で機能しているかどうかを確認する検査に入った。スルガ銀行や東日本銀行が行員の不正を防ぎ切れなかったことを問題視した。
地銀の検査は従来、地方の出先機関である財務局が実務を担ってきたが、今回は金融庁内に専門チームをつくった。業務改善命令などの行政処分を前提とはせず、不備を改善させるのが狙いだ。全国の地銀105行と、統合した地銀の持ち株会社が対象となる。
スルガ銀や東日本銀では、支店内で不正融資が続発。不正に気づいた多くの同僚らが見て見ぬふりを重ね、本社の内部監査部門も役割を果たしてこなかったと指摘される。東日本銀の不正では、持ち株会社のコンコルディア・フィナンシャルグループや、同じ傘下の横浜銀行にも情報が伝わらなかった。
金融庁は、融資の現場に法令順守を徹底させられなかったスルガ銀などの内部監査を問題視。長引く低金利で利ざやでは稼ぎづらい同じ問題を抱える中、他行の内部監査についても機能しているかどうかを確認する必要があると判断した。
検査では、社外取締役の役割についても調べる。地銀の社外取締役は地元の有力者が就くケースが多く、「なれ合い」になっていないか目を光らせる。(山口博敬)